謎解きと妖怪の話
怖い話は好きなんだけど霊感はない…もしくは霊感がないから怖い話が好きなのか。
なので、人様に話して怖がってもらえるような怖い話っていうのはない。
なんとなくそれっぽいものを見たことが一度だけ、すごく怖かった金縛りが一度。
それっぽいものは、窓の外にいる男の子の顔半分が見えなかった事。金縛りは、 階段降りてすぐにあるソファで階段に頭を向けて寝ていたら、明らかに誰かが上から降りてきてそのまま顔を覗き込まれた「感覚」があったこと。目は開かないし何も見えないんだけど、これが夢なら何が現実かわからないってくらい強い感覚でもうめっちゃ怖かった。それ以来、そっちに頭を向けて寝ていない。
それ以外は何もない。
ツイッターで話したことがあるかもしれないけど、高校生の時に「幽霊の噂」の謎解きをしたことがある。
校舎にある螺旋階段を放課後一人で上がっていると、後ろから足音がついてくる。当然振り向いても誰もいないというものだった。教室が3階にあり階段の利用率が高い私達の学年にも実際聞いたという子が何人かいた。かくゆう私もその一人で、階段を上がっている時、聞いた。カチャ……カチャ…と私と同じ足音が、少し後ろから付いてくる。螺旋階段なせいか、音が響いて怖かった。走って上がるうちに気がついた。階段の角についている金属の滑り止め、それを止めているネジが緩んで浮いていて、歩く人がそれを踏むと階段にくっつく、時間が経つとまた浮かぶ。その浮かぶ時の音だった。すぐ教室にいたみんなに知らせて、みんなで実験して一件落着になった。
私はそれ以来、なにか怖いようなことが起きても、「目に見えないどこかで、私の理解できない仕組みでその現象が起きているだけだろう」と思うようになった。金縛りも、睡眠麻痺なんだろうなという範囲でしか体験したことがないし。(さっき書いたあの感覚も自分でそんな幻想を生み出しそうな原因に心当たりがあった)
だけど相変わらず怖い話が好きで、いちいちそれを疑ったり、上に書いたようなことを思って冷めた目で見ることもない。むしろ、そんなことを思うのはつまらない事だと感じる。楽しむべき!
そして、「妖怪」というものがもっと好きになった。
妖怪っていうのは、「原因がわからない不可解で怖い現象」に名前がつき、それに見合った容姿が後から与えられるものもある。私が体験したあの出来事は、まるで妖怪みたいだった。本当は存在する原因が見えないまま、その現象を怖いと思う人がいればそれは怪異であると思っている。霊は存在しなくても。
すると、妖怪は生まれる。あの階段にも、足音だけを立ててこっそり後をついていき、驚く人を見てクスクスと笑う。そんな小僧か少女がいたのかもしれないなあ。
私が気がついた事でそれを消してしまったのかもしれないと思ったら、なんだか悪いことをしたような、寂しいような。